株式会社 アイ・アール・エス ~ インジェクタ再生洗浄サービス ~

ガソリン・ディーゼルエンジン用インジェクター再生洗浄サービス

単噴孔と多噴孔

2013-12-26

こんにちは。アイ・アール・エスのせんむです。

この数日、日中は少し暖かくなってきたような気がしますが、朝夕はまだまだ寒いので、油断して風邪引かないように気をつけないといけませんね。

さて、弊社洗浄サービスをご利用いただくお客様は、当然のことながら比較的走行距離の多いお車のオーナー様が多く、必然的に比較的低年式のお車が多くなります。

この場合、ほとんどのインジェクタはピントルタイプの単噴孔となります。

代表的な例としては、DC2インテグラや、スカイラインGTR(R32~R34)等のインジェクタがこのタイプとなります。

しかし最近は、このブログでインジェクタ洗浄の効果例をご報告させていただいていることもあってか、高年式車のオーナー様にもご利用いただく機会が増えてきました。

大変ありがとうございます。m(_ _)m

この場合、ほとんどのインジェクタは多噴孔タイプのインジェクタとなり、代表的なものでは、プリウスやヴィッツ、FD2シビックなどがあります。

これは、主に燃料の微粒化(俗に霧化とも言われることがありますが、霧化は技術用語としてメジャーではないので微粒化と表記します)の向上を目指した設計で、国産・外車を問わず、現在ほとんどの車がこのタイプとなっています。

ちなみに、このようなインジェクタの進化の歴史をまとめたものが、こちらのTable1に、大変分かりやすくまとめていただいており、ここで言うA typeがピントルタイプで、C type以降はすべて多噴孔タイプです。

なお、Table中にもありますが、燃料微粒化の程度を表現する際に最もよく利用される指標のSMDSauter mean diameter:ザウタ平均粒径、粒子の表面積・体積で重み付けした粒径なので、燃料蒸発と熱量を考慮する必要がある燃焼に関する分野において有効な平均粒径)も、多噴孔化により劇的に小さくなっていますね。 (*^ワ^*)

 

さてここで、多噴孔タイプのインジェクタをご注文いただくときに、

 ・見た目は綺麗ですが、洗浄して意味がありますか?

・多噴孔インジェクタは、孔が多いから詰まらないのでは?

という点を、よくご相談いただきます。

結論から言えば、見た目の綺麗さに関わらず、汚れが付着していれば洗浄効果は期待でき、また、多噴孔インジェクタであっても、ピントルタイプと同様に汚れによる性能悪化は発生します。

これについて、非常にラフではありますが、以下に検討してみます。

まず前提条件として、ピントルタイプの代表仕様として、下図に示したように、下孔径をD’とし、ピントル径をDpとした場合、Dp/D’=0.8とします。

例としては、1mmの孔に、0.8mmのピントルが通っている状態です。

1

 

また、インジェクタ内の燃料通路において、ボトルネック(流れに垂直な断面積が最も狭い部分)は噴孔部分であるとします

ここで、噴射圧・流量係数を一定とすると、噴射量は噴孔部の流路面積に比例すると考えられるため、ピントルタイプ・多噴孔タイプで流路面積が等しくなるように、つまり、同じ噴射量となるような各タイプの噴孔径を計算します

なお、多噴孔タイプについては、2,4,6,8、10,12孔を計算します。

結果をピントルタイプの下孔径D’を横軸にとってまとめると、下図のようになります。

当然、孔数が多く流路面積が小さいほど、孔径は小さくなります。

2

ここで、ピントルタイプ・多噴孔タイプの両方に、厚さ5ミクロンの汚れが均一に付着したとします。

 

5ミクロンといえば、食品保存用ラップの半分以下の厚みであり、こちらにもあるように、無色透明な縮合重合体であるためまったく目に見えず、インジェクタ自体は綺麗に見えます

このような汚れが付着した状態のイメージは、下図のようになります。

3
この状態で、上記で計算した各噴孔の面積から、汚れの膜厚分を差し引いた面積を計算し、面積の低下率、つまり、噴射量の低下率を計算すると、下図のようになります。

4

 

これからわかるように、10孔の多噴孔タイプでは、ピントルタイプでの低下率とほぼ同等の低下率となり、12孔ではそれ以上になります。

これは、多孔化によりひと孔あたりの孔径が小さくなり、相対的に膜厚の影響が大きくなるためです。

以上より、非常にラフな検討ではありますが、多噴孔タイプでも、たとえ見えないほどの汚れであっても性能に影響し得ると考えられます。

 

ただし、図より分かるように、このようなラフな検討であっても、多噴孔タイプではほとんどの孔数においてピントルタイプより面積低下率は低く見積もられ、この設計自体は、インジェクタの性能劣化に対しロバストであり、明らかに技術の進化であるということを忘れてはいけません。

いずれにせよ、使用状態により程度は違えど、インジェクタの汚れは必ず発生し、たとえ新しい設計のインジェクタであっても、洗浄による性能回復の必要性はいまだ残っているという点が重要だと思います。

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