株式会社 アイ・アール・エス ~ インジェクタ再生洗浄サービス ~

ガソリン・ディーゼルエンジン用インジェクター再生洗浄サービス

インジェクターの駆動波形

2014-10-29

こんばんは、専務の藤井です。
 
昨夜は冷たい木枯らしが吹いて、少しずつ冬が近づいているのを実感しています。
 
さて先日、研究機関様よりワンオフ製作でのコモンレールインジェクター用ドライバーのご注文をいただいたのですが、仕様の打ち合わせをしているときにちょっと驚いたことがありました。
 
ソレノイドタイプのインジェクターが対象ですが、これまで、駆動時にはバッテリーというか、いわゆる定電圧電源に直結して動かしていたとのこと。
 
ガソリン用インジェクターでもこれはマズいのですが、特にコモンレールインジェクターは、一般的に抵抗値が非常に小さく、あまり長い時間(とはいえ、数千分の1秒)バッテリー電圧を与え続けると、終端の電流値は数十A(アンペア)を楽勝で超えます。
 
数十Aといえば、細い導線であればごく短期間で焼け落ちるほどの電流で、コモンレールインジェクターのソレノイドは非常に小さい線径なので、容易に溶損します。
 
使用していた定電圧電源は60A仕様とのことでしたので、その状態での電流波形を計測していないのではっきりとは言えませんが、駆動条件を伺ったところ、60A近くまで電流が流れていたものと思います。
 
実際、ある条件で何度かインジェクターが壊れて動かなくなったことがあるとのことで、これが原因だったんじゃないでしょうかとお伝えしました。
 
そもそも、こういった電流波形を観察するにも、かなり高周波まで対応した電流プローブが必要なので、一般的には気付かない、もしくは、気にも止められないというのが実情のようですね。
 
確かに、自動車のバッテリーで動いているんだから、そのバッテリー電圧を与えれば問題ないと思うのもわかりますし、性能や耐久性の詳細を無視すれば、見かけ上はとりあえず動いてしまうので、こういった使用状態が続いていたのかなと思います。
 
しかし、ソレノイドタイプのインジェクターの駆動は、電圧ではなく電流に注目する必要があるというのが落とし穴で、実際に実車のECUでは、非常に精密な電流制御をおこなっています。
 
ここで、実車ではどういった電流制御をしているかというと、これはずいぶん前に作った試作回路の波形の写真ですが、一般的に、
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・ブースト電流(最初のトゲ)
→初期に思いっきり素早くソレノイドでバルブを動かす。
・プル電流(トゲの後のちょっと低い電流)
→バルブが完全にソレノイドに吸着するまで電磁力を維持する。
・ホールド電流(ギザギザ部分の電流)
→無駄な電流による発熱を抑え、かつ動作終了時のバルブ解放を迅速にする。
 
といった、「ギュと上げてパッと掴んでソッと落とす」みたいな気の利いた制御をしており、これらの動作は数百万分の1秒オーダーのスピードでおこなわれています。
 
これにより、インジェクターには過度な大電流が流れないので、ソレノイドを痛めることなく、かつクイックに動作させることが可能なわけです。
 
さらに、ソレノイドにつきもののサージ電圧の処理や、電流制御につきもののノイズ対策も必要なので、結果的にけっこう複雑な回路が必要になります。
 
ということで、今回対象となるインジェクターについて、ご要望の波形となるように制御ロジックの作成と回路調整をおこない、先週無事に納めさせていただくことができました。

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