DPFのお話
こんばんは、専務の藤井です。
今週は花粉が飛んでいるのか、頭がボーッとしてしまい、資料作りに支障がでて困っています。
さて、話はまったく変わりますが、最近のディーゼルエンジンには、排気中のPM(スス)を取り除くため、排気管にDPF(Diesel Particulate Filter)が装着されているというのは、整備業の皆様をはじめ、多くの方がご存じだと思います。
ただ、DPFの話をしているときに、いつも気になる点があります。
それは、多くの方が、「DPFはスス取りフィルターで、茶こしのようなもの」という認識をされているという点です。
確かにこれ自体は間違いではないのですが、特に最近のDPFは、単に細かい穴が開いたフィルターではなく、ススの浄化機能をより向上されるために、触媒がコーティングされています。
詳しいことを言い出すと論文になってしまうので、簡単に言えば、ススを濾し取るだけではいつか詰まってしまうので、ススを燃やして、二酸化炭素にする(再生)必要があるのですが、この再生をより効率的にするため、ススと酸素を結合しやすくする触媒(酸化触媒)を担持(コーティング)しているということです。
このため、DPFではなく、CDPF(Catalyzed DPF)や、CSF(Catalyzed Soot Filter)などの呼称で呼ばれていたりもしますが、言葉の定義がはっきりされていないので、全部ひっくるめてDPFと呼んでしまっているのが現状です。
で、触媒というのは、特定の化学反応を促進するもので、ここではスス(炭素:C)と酸素(O)の反応ですが、厄介なことに、触媒はその触媒とものすごく仲がいい物質と出会ってしまうと、その物質とラブラブになって、その物質のことしか目に入らなくなり、代わりにCやOのことは無視するようになってしまい、結果的に反応促進の機能を失ってしまいます。
これを触媒の「被毒」といい、ラブラブな物質のことを「触媒毒」といいます。
触媒的には幸せなのかもしれませんが、人間的には好ましくない交際なので、こういった悲しいネーミングになっています。
この触媒毒は、触媒の種類により多種多様ですが、排気系に使用されている触媒は、当たり前ですが触媒毒が排気中にはほとんど無い物質であるように設計されており、逆に言えば、排気以外のものと触れさせると、被毒してしまう可能性があるということです。
しかも厄介なことに、触媒が被毒されているかどうかは、目で見てもわかりません。
ここで、もしそういったことが起きてしまうとけっこう問題で、例えば、せっかくインジェクターを洗浄して燃料噴霧を正常な状態に回復し、設計通りの燃焼に戻すことで、エンジンとしては本来の排気状態に戻ったとしても、その下流のDPFのスス浄化能力自体が低下しているので、DPFが本来より詰まり気味なままになってしまいます。
また、排気系のその他の触媒(上流の酸化触媒や、SCR触媒など)も同様に機能損失しうるのですが、これらはそれぞれの機能を発揮するために、それぞれが正常に機能している必要があり、非常に複雑かつ絶妙なバランスで設計されているので、同じく注意が必要です。
例えば、ターボ直下の酸化触媒では、その機能が失われると、HCの増加や下流の排気温度の低下につながり、DPFでのスス浄化率に影響してしまいますし、SCR触媒では、流入してくるNOx(窒素酸化物)におけるNO,NO2(一酸化窒素、二酸化窒素)の比率が重要なので、上流の酸化触媒の機能(NOの一部をNO2にして、いい塩梅の比率にする機能)が失われると、NOxの浄化率にも影響します。
このように、DPFだけでなく、最近のディーゼルエンジンの排気系システムは、見た目と違ってものすごく繊細なシステムで、また、インジェクターなど燃料噴射系システムとも密接にかかわっているため、木を見て森を見ずではなく、トータルで考える必要があるという点を知っておいていただきたいなと思います。
このへんの詳しい話はここでは複雑すぎるので、JAMAの参考資料を貼っておきます。
ご興味のある方はぜひご覧ください。
http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/201203/03.html









