株式会社 アイ・アール・エス ~ インジェクタ再生洗浄サービス ~

ガソリン・ディーゼルエンジン用インジェクター再生洗浄サービス

宿敵「水素脆化!」

2015-02-10

こんばんは、専務の藤井です。
 
今夜はちょっと夜中に試験をする用があるのですが、どんどん気温が下がっており、それと比例してモチベーションも下がっています。
 
さて、唐突ですが「水素脆化(脆性)」というのをご存知でしょうか?
 
かいつまんで言うと、金属結晶内に水素が入り込んで、その部分の強度を低下させてしまう現象で、一般的にはあまり知られていませんが、機械系のエンジニアにとっては必須の知識で、かつ宿敵ともいえるものです。
 
というのは、この水素脆化により脆く(もろく)なった部分に応力がかかると局所的にクラックが発生し、それが伸長するといずれはその部品の破壊に至ってしまうという恐ろしい現象だからで、モノの開発段階から非常に気を付けなくてはいけない現象の一つです。
 
(参考)
http://ja.wikipedia.org/wiki/水素ぜい化
 
ここで、これの厄介なところは、
 
 ・見えない。
⇒金属に水素が入り込んでいるかなんて、
当然目で見てもわからないので、事前に
判断のしようがない。
 
 ・原因をつかまえにくい。
⇒発生してから観察(部品の破壊)に
至るまで、ある程度の時間がかかる
(よって、遅れ破壊といいます)ので、
いつどこで水素脆化が発生したかを
遡って特定しにくい。
 
 ・発生するとあぶない。
⇒クラックが入るのは応力のかかる場所で、
得てして機械的に重要な部分である
ケースが多いので、クリティカルな
機能損失に繋がりやすい。
 
という点で、エンジニアにとっては非常に面倒な相手です。
 
で、なぜこういう話をするのかというと、先日ちょっと気になる話を耳にしたからです。
 
それは、
ディーゼルインジェクターのノズルをキレイにしたくて、ある溶剤に一晩浸してからエンジンに取り付けてみたところ、暫くして使用中にノズルが割れてしまい、エンジンを壊してしまった。
というものでした。
 
これを聞いた時、
「それ、もう完全に水素脆化やん。」
と思うと同時に、
「よりによって、なんちゅう事を。。。」
と思ったのですが、上記のような知識が無ければ、見た目にきれいになってしまえば、確かにやってしまうかも知れませんね。
 
ディーゼルインジェクターのノズルは見るからに屈強で、実際に非常に過酷な条件下での使用に耐える設計になっていますが、実はとても繊細かつ超精密な部品で、素材もただの鉄やステンレスではなく、とても特殊なブレンドや熱処理がされています。
 
特に、コモンレール式になってからというもの、噴射圧力の上昇や噴射機能の進化に合わせて、こういった設計思想はどんどん進歩している部分であり、よって、その思想から外れたことをされれば、当然上記のような問題は発生し得るわけで、このため扱いがとても難しい製品となっているわけです。
 
弊社では、当たり前ですが、こういった潜在的な問題を予め認識して、それを起こさないような条件や妥当な方法を、技術的観点から選定・採用し、耐久試験など必要十分な評価とバリデーションをおこなった上でご提供させていただいております。
 
例えば、ディーゼルインジェクターを弊社にご送付いただく際には、たとえどんなにカーボンがベットリ着いていても、無闇に取り除こうとせず、そのままご送付いただくようにお願いしているのですが、それは(https://www.facebook.com/IRSJapan/posts/489020331240772)でご紹介しているように、機械的な傷等による問題と同時に、お客様のお手元で上記のような間違った処置がされてしまう危険も防止するためです。
 
いずれにせよ、ディーゼルインジェクターは、ちょっと落っことしても平気に感じるほど屈強に見えますが、技術的にとても難しい製品で、エンジンでの使用過程を考慮すると、慎重に取り扱わなくてはならない部品だという点を、知っておいていただければ思います。
 

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