【夏休み特別篇:第1話】自動車排出ガス規制の歴史
こんばんは、営業の廣田です。
さて、夏季休業期間中ということで、インジェクター洗浄のお話は少し休憩させていただき、夏休み特別篇として、クリーンディーゼルの重要な技術であるコモンレールシステムと厳しい排出ガス規制をクリアすることに欠かすことが出来くなったDPFについて、全5回に分けて紹介させていただきたいと思います。
目次は以下のようになっています。
【夏休み特別篇:目次】
コモンレールシステムとDPFについて
第1話 自動車排出ガス規制の歴史
第2話 コモンレール誕生の話
第3話 コモンレールの歴史
第4話 DPFとは?
第5話 DPFの再生について
それでは、第1話としまして、自動車排出ガス規制の歴史についてご紹介いたします。
【第1話 自動車排出ガス規制の歴史】
トラック・バスは、日本の物流、輸送を支える重要な交通手段になりますが、これらに搭載されているディーゼルエンジンは、年々厳しくなる自動車排出ガス規制に対応するため、燃料噴射システムのコモンレール化やDPFなどの排気後処理の技術が必要となりました。
そのコモンレールやDPFについてご紹介する前に、自動車排出ガス規制の歴史について、ご紹介したいと思います。
1970年代、日本は高度経済成長により産業が発達しましたが、それにともない大気汚染が社会問題となりました。この大気汚染の原因の一つとして問題となっていたのが、自動車の増加による排出ガス増加です。
その対策として排出ガス規制が始まりますが、日本の排出ガス規制は、1963年(昭和38年)にガソリン車向けから始まり、規制対象はCO(一酸化炭素)濃度のみとなっていました。
その後、自動車の排出ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)やHC(炭化水素)が、光化学スモッグの原因となることがわかり、1973年(昭和48年)に成立した規制では、CO、HC、NOxが規制対象となります。
一方、ディーゼル車の初の規制は、ガソリン車から1年遅れの、1974年(昭和49年)から開始されます。元々、CO、HCの排出量がガソリン車と比べて少ないこともあり、規制対象はNOxのみとなります。
その後、規制値は、段階的に強化されていきますが、1990年代に遊粒子状物質による健康影響が社会問題となり、1994年(平成6年)にPM(粒子状物質)も規制対象となる、短期規制が開始されるようになり、トレードオフの関係にあるNOxとPMの両方を低減する必要が出てきます。
その後、この規制値は段階的に強化されていくことになり、これらの規制値に対応するため、コモンレール式燃料噴射システムやDPFが登場することになります。
また、日本ではNOxを有害視する傾向にあったため、欧州の排出ガス規制に比べて、規制値は厳しい傾向にありましたが、最近の規制でみると先進国の規制値は、とても厳しい値となっているので、大きな差がなくってきていると言えると思います。
日本の排出ガス規制の年表は、以下のようになっています。
1994年、短期規制
1998年、長期規制
2003年、新短期規制
2005年、新長期規制
2009年、ポスト新長期規制
自動車排出ガス規制の歴史についてのご紹介は、以上となります。
明日は、排出ガス規制に対応するために誕生したコモンレールのお話をご紹介しますので、お楽しみに!
※引用元:国土交通省HP「新車に対する排出ガス規制について」7.ディーゼル重量車(GVW3.5t(新短期規制までは2.5t)を超えるトラック・バス)より
http://www.mlit.go.jp/common/000206828.pdf