株式会社 アイ・アール・エス ~ インジェクタ再生洗浄サービス ~

ガソリン・ディーゼルエンジン用インジェクター再生洗浄サービス

直噴ガソリンエンジン用インジェクターの性能測定について

2019-11-02

こんにちは、専務の藤井です。
ハロウィンも終わり、朝夕は驚くほど寒くなってきていますので、皆様どうぞご自愛ください。
さて、久しぶりの投稿でものすごく長くなってしまいますが、お付き合いいただければと思います。

 

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最近の傾向として、排ガス規制の影響や技術の進歩のため、ガソリンエンジンにおいても直噴エンジンが増えてきましたね。
弊社では、もちろん直噴ガソリンエンジン用インジェクターの洗浄も承っておりますが、これについては、ポート噴射用インジェクターのような性能レポートの発行オプションは、提供を控えさせていただいております。
この理由について、随分前にも解説させていただいたのですが、上記のように直噴エンジンが増えてきているため、ここで再度解説させていただこうと思います。
 
少し哲学的な話になりますが、まず「性能」と「機能」という言葉の意味から考えなくてはいけません。
インジェクターの「機能」は、エンジンに「然るべきタイミングで」「然るべき噴射量を」「然るべき形態(噴霧)で」供給することというのが、その主なものであると思います。
なお、開発におけるFMEAやDRBFMなどでは、例えば「燃料を保持する(漏れを起こさない)」などのペリフェラルな機能も挙げられますが、ここでは主機能にとどめておきます。
対して、インジェクターの「性能」とは、上記の機能をどの程度のレベルで達成できるかという定量的な尺度であり、結局のところ「噴射量」に帰着します。
 
ここで大切なのは、「性能を体現するに値するのは、〈使用される状態における〉噴射量」である点で、例えば、路面がドライな状態で使用されるスリックタイヤの性能を、大雨のウェットな路面で測定しても意味を成さないように、「測定条件」が非常に重要なファクターとなります。
ここで、インジェクターの噴射量を測定する際の条件として、「燃料性状」「温度」「気圧」などの環境条件と、「電流波形」「燃料圧力」などの駆動条件が存在します。
 
このうち前者は、比較的コントロールしやすいものであり、普段の弊社の試験においても制御下におき、安定した条件を作り出しております。
対して後者は、上記の「使用される状態における」という点を実現するのが技術以外の理由で困難であり、このため「意味のある性能レポート」というかたちでご提供するのが難しくなっております。
 
具体的には、まず「燃料圧力」ですが、初期のガソリン直噴システムから最新のものまで、その噴射圧は5~30MPa程度と、ひと桁違うものとなっており、機種ごとにあまりに条件がバラバラである点が挙げられます。
また、たとえ全ての機種の噴射圧を把握できたとしても、200MPaを超えるディーゼルほどではないにせよ、せいぜい0.3MPa(3bar)程度のポート噴射用の設備とは異なり、このような高圧を安定して発生させる設備を導入するには、それなりのコストが必要になります。
 
次に、「電流波形」ですが、これもポート噴射と大きく異なった要求条件となります。
ポート噴射インジェクターでは、吸気ポートが閉じてから開くまで、比較的長い噴射可能期間を許されていますが、直噴インジェクターでは、圧縮上死点付近ですべての燃料を噴射しきらなければならないため、噴射可能な期間が極めて限定されており、結果として通電時間も極端に短くなります
よって電流波形、特に突入電流の微妙な違いにより、開弁がたとえ10us(0.01ms)レベルでも実機と異なれば、測定される噴射量は全くあてにならないものとなってしまいます。

 
ここで、この電流波形自体は、弊社のコモンレールディーゼルインジェクター駆動装置を使用すれば簡単に再現できるのですが、問題は製品世代やメーカーごとに様々な波形が採用されており、その全容把握が困難である点です。
上記から、技術的にはそう難しくなくとも、設備導入コストや調査コストを考慮すると、「意味のある性能レポート」を現実的な価格でご提供することが難しくなってしまうため、控えさせていただいているということです。
 
なお稀に、「ポート噴射用の条件で測定してレポートにしてもらえないか?」というご要望をいただくことがあるのですが、上記のように、数barレベルの噴射圧で、突入電流が再現されていない電流波形を使用して測定を実施しても、「意味がないレポート」となってしまうため、お客様から代金を頂けるようなサービスとは考えられず、上記のようなご説明を差し上げたうえで基本的にお断りしております。
 
ただし、ガソリン直噴インジェクターより遥かに強固な汚れを対象としたディーゼルインジェクター洗浄をベースとした洗浄手法を採用し、かつ、「機能」においても、その基礎となる「弁の開閉」「油密」などについては、きちんとチェックした上で出荷させていただいたおりますので、直噴インジェクターであっても、どうぞ安心してご利用いただければと思います。

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