尿素SCR
こんにちは、専務の藤井です。
今日はやっと晴れてますが、さすが熊谷から半径20km圏内。
さっそく暑いです。
さて、なんとなく画像を作っていたらSFチックになってしまいましたが、これはデフォルメし過ぎたガンダムではなくて、尿素分子のモデルです。
尿素SCRというのを聞いたことがあるかもしれませんが、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる窒素酸化物を、この尿素を使って分解し、浄化するシステムに使われています。
ちなみに、尿素というと臭そうなイメージですが、これ自体は全然臭くありません。
この尿素ですが、分子式は (NH2)2CO です。
これを加水分解すると、
(NH2)2CO + H2O → 2NH3 + CO2
みたいな感じの反応が起きて、アンモニアと二酸化炭素になります。
このアンモニアは、ご存じの通り、得も言われぬかほりでございます。
以前、尿素SCRシステムの開発をやっていたとき試しに分解してみて、鼻の奥に突き刺さるような、そのガツンとくるかほりにそれはそれは驚きました。
ちなみに、ここでCO2が発生してますが、自動車の尿素SCRシステムでは、尿素の消費量は燃料と比べてごく少なく、システム搭載によりエンジンの燃費向上で得られる、燃料起因のCO2低減量の方がはるかに多いので、トータル的にはCO2低減になります。
で、排気管中に尿素水を噴射して、上記のようにアンモニアを得て触媒に吸蔵し、排気管を流れてきた窒素酸化物(NO,NO2など)と、以下のような反応をさせます。
6NO + 4NH3 → 5N2 + 6H2O とか、
6NO2 + 8NH3 → 7N2 + 12H2O とか、
NO + NO2 + 2NH3 → 2N2 + 3H2O とか。
実際には、もっといろいろな反応がありますが、いずれにせよ、結果的に無害な窒素と水に分解されます。
で、なぜいきなりこんな話題かと言いますと、排気管に尿素水を噴射させるパーツも、要するにインジェクターなので、燃料用のインジェクターと同様、使っているといろいろと劣化してくるわけで、そのクリーニングのニーズもそろそろ出始めるかなと。
個人的には、ちょっと楽しみな分野です。