第1回 エンジンの誕生 ~ニューコメンの蒸気機関~
こんばんは。営業の野本です。
年末年始のFacebookでは、『エンジンの歴史~インジェクターの登場まで~』と題し、蒸気機関からガソリン、ディーゼルエンジン、そしてエンジンの重要パーツであるインジェクターが登場するまでの歴史を、全6回に渡り紹介したいと思います。各回の内容は下記のとおりです。
『エンジンの歴史~インジェクターの登場まで~』
第1回(12/28) エンジンの誕生 ~ニューコメンの蒸気機関~
第2回(12/29) 蒸気機関の普及 ~ワットの蒸気機関~
第3回(12/30) 内燃機関の登場 ~ルノアール~
第4回(12/31) ガソリンエンジンの登場
~オットーとダイムラー、ベンツ~
第5回( 1/ 4) ディーゼルエンジンとインジェクター登場
~ディーゼルとボッシュ~
第6回( 1/ 5) ガソリンインジェクターの登場
さっそく本日の第1回は、熱機関として有名なワットの蒸気機関の先祖であるニューコメンの蒸気機関です。それでは、スタートです。
『第1回 エンジンの誕生 ~ニューコメンの蒸気機関~』
<背景>
ヨーロッパでは16世紀頃から鉄の需要が伸び始め、製鉄に使われる石炭の消費量が増えていきました。そこで、各地で石炭の採掘が盛んにおこなわれましたが、石炭を掘る際に地下水が湧き出すため、その地下水を汲み出す必要がありました。この作業には馬が使われ、多大な時間と労力がかかることから、馬に代わる新たな動力が求められるようになっていました。
<ニューコメンの蒸気機関>
そのような時代背景の中で登場したのが、ニューコメンの蒸気機関です。外観は添付の図1をご覧ください。この熱機関は、石炭でボイラーを炊き、できた蒸気を使用します。
その動作は下記のとおりです。
図2にも動作を示しているので参照ください。
1.重りによって梁が傾きピストンが上昇。
シリンダ内が蒸気で満たされる。
2.シリンダ内に水を噴射させることで内部の蒸気が凝縮し、
シリンダ内を減圧(真空状態)させる。
3.シリンダ内が真空状態になるため、ピストンが
大気圧で押され下降し、水を汲み出す。
この蒸気機関は、非常に大きく、排気量はなんと2,000L以上ありました。これは、ピストンを動かす力が最大でも大気圧分しかないため、大きな力を得るにはシリンダ面積を大きくする必要があったからです。当時は、馬に代わる動力として、多くの炭鉱に設置されました。
今回のように外部の熱源を使用する熱機関は、外燃機関と呼ばれています。
ニューコメンの蒸気機関は、大気圧を使用した熱機関であると言えますね。
本日はここまでです。
明日は、『第2回 蒸気機関の普及 ~ワットの蒸気機関~』です。
イギリスの産業革命の説明には、必ずと言っていいほど出てくるワットの蒸気機関。お楽しみに!