第2回 蒸気機関の普及 ~ワットの蒸気機関~
こんばんは。営業の野本です。
『エンジンの歴史~インジェクターの登場まで~』
第2回はワットの蒸気機関を紹介します。ワットと言えば、その名前が電力や仕事率の単位にもなっているくらいの超有名人です。それではスタート。
『第2回 蒸気機関の普及 ~ワットの蒸気機関~』
ワットは、ニューコメンの蒸気機関の改良から始め、さらに高効率な蒸気機関を発明しました。
< ニューコメンの蒸気機関の改良 >
ニューコメンの蒸気機関では、シリンダ内を減圧させ真空状態を作るときに、シリンダ内部に水を噴射させるため、蒸気と共にシリンダも冷えてしまいます。そのため、シリンダを再度温めるのに大量のエネルギーが必要となってしまい、効率が悪くなっていました。
そこで、ワットはコンデンサー(復水器)と呼ばれる別室を作り、そこにシリンダからの蒸気を導入して冷やす仕組みを作りました。この仕組みにより、シリンダを冷やすことなく減圧させることに成功し、効率が飛躍的に良くなりました。
< 蒸気機関のさらなる進化>
ワットは、さらに効率が良い蒸気機関を作るため開発を続け、蒸気の圧力を直接利用する新たな蒸気機関を生み出しました。図1はその一例です。
この新しい蒸気機関は、従来の「大気圧と真空状態のシリンダ内部との圧力差」ではなく、「蒸気圧と真空状態のシリンダ内部との圧力差」でピストンを駆動させています。動きの詳細は図2に示したのでぜひご覧ください。
小型化に成功し、ニューコメンの蒸気機関と比較した場合に、燃料の消費がおよそ1/4程度まで低減しました。また、ワットはピストンの往復運動を回転運動に変換する機構も開発したことから、用途が飛躍的に広がりました。
ワットの蒸気機関は、蒸気圧を直接利用した蒸気機関と言えますね。
第2回はここまです。
明日は、『第3回 内燃機関の登場 ~ルノアール~』です。
ここで、今のエンジンにも通じる内燃機関が登場します。お楽しみに。