第4回 ガソリンエンジンの登場 ~オットーとダイムラー、ベンツ~
こんばんは。営業の野本です。
『エンジンの歴史~インジェクターの登場まで~』
第4回は、現在のエンジンの基本的な仕組みである4サイクルエンジンを発明したオットーと、世界で最初に自動車を発明したと言われている、ダイムラーとベンツを紹介します。
『第4回 ガソリンエンジンの登場 ~オットーとダイムラー、ベンツ~』
<4サイクルエンジンの登場>
オットーは、ルノアールの発明したエンジンを改良していくうちに、混合気を圧縮してから燃焼させた方が、圧縮しない場合に比べ、より大きな燃焼圧を得られることを発見しました。この発見により、吸入・圧縮・燃焼/膨張・排気の4工程からなる4サイクルエンジンが生み出されました。
熱力学の教科書には、必ずオットーサイクルの理論が載っていますが、理論があってオットーサイクルができたわけではなく、オットーが実験を繰り返した結果できたエンジンに、後で理論がつけられました。
この4サイクルエンジンは、小型でありながら出力が高く効率も良かったため、従来のエンジンを駆逐していきました。4サイクルエンジンは、現在でも主力のエンジンです。
オットーの発明したエンジンは、シリンダが水平に置かれ、その中のピストンが水平に往復運動をおこない、その往復運動をクランク機構を介して回転運動に変えていました。定置用として使われるため、燃料には石炭ガスを使用し、点火にはスパークプラグではなく、炎を使用していました。その外観は図1を参照ください。
<自動車の誕生>
当時、オットーの会社には、ダイムラーとマイバッハ(共に、メルセデスベンツを展開するダイムラーの前身企業のDMGの設立者)も在籍していました。オットーと共にエンジンの開発をおこなっていましたが、自動車を作りたいという思いから、定置用エンジンを開発するオットーから独立しました。
エンジンはオットーのエンジンを基本としていましたが、車両にエンジンを搭載するため、燃料は従来のガス(石炭ガス)から、持ち運びが簡単な液体燃料(ガソリン)に変えました。また液体燃料と空気を混合するため、燃料供給装置としてキャブレター(気化器)を開発しました。ついには車両に搭載可能な小型のガソリンエンジンを実用化させ、まずは自転車に搭載し世に送り出しました。図2参照。
ほぼ同時期に、同じようにベンツ(ダイムラーの前身企業のBenz & Cie.の設立者)も、自動車を開発しリリースしていました。ベンツはダイムラーとは直接交流はなかったと言われています。
最後に、ガソリンエンジンの基本的な動作を図3に示します。ルノアールの熱機関と異なり、圧縮工程が追加され、吸気・圧縮・燃焼/膨張・排気の4サイクル(ピストン2往復分)で1回の燃焼が完了することが分かります。
オットーの功績は、従来のルノアールのエンジンに対し、圧縮工程を追加し4サイクルとしたことです。このエンジンを車載可能にしたのが、ダイムラーとベンツです。
図1,2の出展:https://en.wikipedia.org/wiki/Otto_engine
まだ、インジェクターは登場しません。
インジェクターは次回ディーゼルエンジンの登場を待ちます。
次回は『第5回 ディーゼルエンジンとインジェクター登場 ~ディーゼルとボッシュ~』です。お楽しみに。