第5回 ディーゼルエンジンとインジェクター登場 ~ディーゼルとボッシュ~
こんばんは。営業の野本です。
『エンジンの歴史~インジェクターの登場まで~』
第5回は、ディーゼルエンジンを紹介します。ここでいよいよインジェクターが登場します。
『第5回 ディーゼルエンジンとインジェクター登場 ~ディーゼルとボッシュ~』
<ディーゼルエンジンの登場>
オットーのエンジンが世に出ると、それよりも高効率のエンジンを生み出したいという人物が現れました。それが、ルドルフ・ディーゼルです。ディーゼルは理論上最も効率の良い熱機関をいかに具現化するかを考えていました。
その長年の研究の結果、発明したのがディーゼルエンジンです。1890年代に世に出ました。当時のディーゼルエンジンを図1に紹介します。
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと同じ、吸入、圧縮、燃焼/膨張、排気の4サイクルです。しかし、ガソリンエンジンと異なる点は、混合気ではなく空気のみを圧縮し、高温高圧となった空気に、燃料を供給し自己着火させる点です。空気のみを圧縮するため、圧縮比を高くしても異常燃焼の心配がありませんでした。そして、圧縮比を高くできることから、ガソリンエンジンに比べ熱効率の高いエンジンとなりました。
当時は、加工精度が悪く正確に燃料を噴射できる噴射装置を作ることができなかったため、あらかじめ圧縮空気と燃料を混合させてシリンダの中に吹き込む空気噴射方式が採用されました。
<インジェクターの登場>
ただし、空気噴射方式では装置が複雑になり、自動車に搭載することが難しいため、新たな燃料供給装置の登場が望まれていました。
そのようなニーズの高まりの中、1920年代後半に、ボッシュが機械式の燃料噴射ポンプとインジェクターの開発に成功し、微量の燃料を正確に噴射できるようになりました。インジェクターは、燃料圧力に応じて開閉する弁の役割を担っており、ノズルホルダーと呼ばれていました。当時の燃料噴射ポンプを図2に紹介します。また、当時の機械式インジェクターの画像が手元にないため、過去に弊社で施工した機械式インジェクターを例として図3に紹介します。
新たな燃料噴射装置の開発により、車載用エンジンとしての実現が容易となり、その経済性から商用車に対してディーゼルエンジンが急速に普及するようになりました。
最後に、ディーゼルエンジンの基本的な動作を図4に示します。ガソリンエンジンと同様に吸気・圧縮・燃焼/膨張・排気の4サイクルですが、ガソリンエンジンとの大きな違いは、点火装置がなく燃料の自己着火により燃焼をおこなうことです。また、その普及には燃料噴射装置の開発がキーポイントになりました。
図1の出展:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3
図2の出展: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%99%B4%E5%B0%84%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%97
このように、最初にインジェクターが世の中に登場したのは、ガソリンではなくディーゼルでした。では、ガソリンインジェクターはいつ登場したのでしょうか? 次回の第6回で紹介します。お楽しみに。