株式会社 アイ・アール・エス ~ インジェクタ再生洗浄サービス ~

ガソリン・ディーゼルエンジン用インジェクター再生洗浄サービス

第2話 ガソリン用直噴エンジンの歴史  ~市場から消えその後復活した理由~

2016-12-31

こんばんは。営業の野本です。

 

年末年始特別編の第2話です。
ガソリン用直噴エンジンの話題の続きになります。
今回は、第1話で紹介した直噴エンジンのメリットとデメリットを踏まえ、三菱GDIに代表される希薄燃焼の直噴エンジンについて説明し、その希薄燃焼の直噴エンジンが市場から消えた理由と、その後に登場した理論空燃比による燃焼の直噴エンジンについて紹介したいと思います。
 
まずは第1話のおさらいです。
第1話では、直噴エンジンのメリットとデメリットをそれぞれ紹介しました。
メリット
1.ノッキングの心配がないため高圧縮化でき、理論熱効率を
  向上させられる
2.燃料の気化熱により、筒内温度を下げノッキングを抑えられる
3.筒内に直接燃料噴射するため、燃焼を制御できる
デメリット
1.高圧化に対応するため、インジェクターを始めとする
  各パーツのコストが上昇する
2.ススやNOx(窒素酸化物)の増加により排ガス性能が悪化する
3.カーボンによりエンジン内部が汚れる
 
以上を踏まえて、直噴エンジンには、大きく分けて理論空燃比よりも燃料が少ない状態(リーン)で燃焼させる希薄燃焼と、理論空燃比で燃焼させる通称ストイキ燃焼の2種類があります。
 
【希薄燃焼の直噴エンジン】
まず、最初に登場したのが、希薄燃焼の直噴エンジンでした。
1996年に三菱自動車が世界で初めて量産化に成功し、そのエンジンはGDI(Gasoline Direct Injection)と呼ばれています。希薄燃焼は、燃費向上を目的として採用され、実際に当時のギャランのカタログには、燃料消費が-35%と謳われていました。
希薄燃焼は、直噴によりスパークプラグ近辺にのみ燃焼可能な空燃比にすることで、実現しています。図1に、希薄燃焼用直噴エンジンの燃焼サイクルの一部を紹介します。
 
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なお、燃費が向上する主な理由は下記の2点です。
・ポンピングロス低減による燃費向上
希薄燃焼では、従来のストイキ燃焼に比べより多くの空気を吸入します。そのため、アクセル開度が大きくなり、ポンピングロスが低減します。
・熱損失の低減
ストイキ燃焼に比べ空気の比率が高いため燃焼温度が下がり、熱損失が低減します。
なお、GDIの量産化に続き、トヨタのD4、日産のNEO Di、ホンダのi-VTEC I等、次々と希薄燃焼の直噴エンジンが世に出ました。
 
【希薄燃焼の直噴エンジンが市場から消えた理由】
燃費向上という大きなメリットがあったGDIでしたが、登場からおよそ10年経過した2007年には、ラインナップから消えてしまいました。
その理由は主に下記の2点です。
・排気ガス規制強化による燃費向上効果の減少
・市場での耐久性の問題
 
・排気ガス規制強化による燃費向上効果の減少
冒頭のデメリットでも紹介しましたが、図2に示すように、希薄燃焼では、空燃比が三元触媒の有効な範囲を超えてしまうため、三元触媒でNOxが低減できません。
そのため、追加でNOx低減装置が必要になります。しかも、このNOx低減装置は、三元触媒に比べてNOx浄化率が低いのが一般的です。そのため、厳しくなる排出ガス規制に対応するため、希薄燃焼できる運転領域がどんどん狭くなってしまいました。
その結果、NOx低減装置等のコストアップ分に見合う燃費向上の効果が得られなくなってしまいました。
 
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・市場での耐久性の問題
市場に出て暫くしてから、直噴エンジンのデメリットである、カーボンの付着による各部品の性能劣化が問題となりました。 図3に示すように、特に直接燃焼にさらされる直噴インジェクタ―は、ポート噴射式に比べ汚れがひどく、その汚れによる車両トラブルも増えていきました。
その結果、GDIはラインナップから消え、同時期に登場したトヨタのD4、日産のNEO Di、 ホンダのi-VTEC I等も、同じ道をたどります。
 
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【ストイキ燃焼の直噴エンジン】
一方で、希薄燃焼の直噴エンジンが市場から撤退するのと時を同じくして、第1話で紹介した直噴の残り2つのメリット
1.ノッキングの心配がないため高圧縮化でき、理論熱効率を向上させられる
2.燃料の気化熱により、筒内温度を下げノッキングを抑えられる
を生かした直噴エンジンが登場しました。
 
このエンジンは希薄燃焼ではなく、理論空燃比であるストイキ燃焼による直噴エンジンです。ストイキ燃焼による直噴エンジンは、上記2つのメリットを生かし、高圧縮化を実現しています。
これにより、理論熱効率が向上することで燃費がよくなり、同一サイズのエンジンに比べ多くの空気を取り込むことができることから高出力も実現しています。
また、高圧縮化してもノッキングが起きにくいというメリットから、過給機との相性も良く、輸入車で多く見られるダウンサイジングエンジンにも、直噴が採用されています。
 
このように、一時期はラインナップから消滅しかけた直噴エンジンですが、それまでの希薄燃焼から、ストイキ燃焼へと変わり、今では多くの自動車メーカーが採用しています。
しかし、ストイキ燃焼の直噴エンジンにおいても、インジェクターが汚れやすいという問題に変わりがありません。実際に弊社でも、直噴エンジンのトラブルによるインジェクター洗浄の問合せは増えてきています。今後、アフターマーケットにおいても、直噴エンジンへの対応が重要になってくるものと思われます。
 
第2話は、以上になります。
年明け第3話からは、自動運転の話題になります。
日産自動車が今年発売したセレナに搭載され話題になった自動運転です。お楽しみに!

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