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ガソリン・ディーゼルエンジン用インジェクター再生洗浄サービス

『GW特別篇:第2話 NOx吸蔵触媒』

2016-05-03

ゴールデンウィーク特別篇:第2話 NOx吸蔵触媒

 

NOx(窒素酸化物)を低減させる後処理装置としては、今回紹介するNOx吸蔵触媒と明日の第3話で紹介予定の尿素SCR(Selective Catalytic Reduction :選択還元触媒)があります
 
尿素SCRでは、排気ガス中のNOxをN2(窒素)へ変えるのに尿素を使用するため、尿素を供給するためのインフラが必要になりますが、燃費が悪化しないというメリットがあります。一方NOx吸蔵触媒では、リッチ状態をつくるのに燃料を消費するため燃費は悪化しますが、尿素等を補充する必要がないというメリットがあります。それぞれのメリットとデメリットを考えたうえで、各自動車メーカーはこれらの後処理装置を採用をしています。
 
それでは、第2話ではNOx吸蔵触媒について、その登場の背景や概要について紹介したいと思います。
 
なお、NOx吸蔵触媒は、以前は、三菱GDI、トヨタD4等のガソリンの直噴リーンバンエンジンに採用されていましたが、今は、主に図1に示した日産エクストレイルや三菱パジェロ等のクリーンディーゼルに採用されています。
 
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【NOx吸蔵触媒登場の背景】
 
排気ガス中のNO(一酸化窒素)、NO2(二酸化窒素)等のNOxは、光化学スモッグの原因となるため、排出規制の対象とされてきました。規制も年を追うごとに厳しくなり、その規制値は、最新のポスト新長期規制において、規制が開始された昭和49年当時と比べると1/10以下となっています。そのため、エンジン側で排出されるNOx自体を減らすことは勿論のことですが、排気ガス中のNOxも無毒なN2へと反応させ、NOxの排出量をさらに低減させる必要が出てきました。
 
ただし、排気ガス中に多量のO2(酸素)があると、NOxからO2をはがして無毒なN2に変えることができません。そのため、排気ガス中に大量の空気があるディーゼルエンジンでは、NOxの浄化が困難でした。
 
そのため考案されたのが、NOx吸蔵触媒です。
NOx吸蔵触媒では、排気ガス中に大量の空気がある状態(リーン)では、一旦触媒にNOxを溜めておきます。次に、溜めたNOxが一定量を超えると、排気ガス中に燃料が過剰にある状態(リッチ)をつくります。このリッチ状態では、NOxがN2へと反応可能なため、溜めたNOxを放出し無毒なN2へ変えます。
 
【NOx吸蔵触媒の概要】
 
図2にNOx吸蔵触媒を含む排気後処理のレイアウト、図3にNOx吸蔵触媒の仕組みを示します。ここでは、まずNOx吸蔵触媒の仕組みを説明し、その後リッチ状態にするために必要なリッチスパイクとNOx吸蔵触媒の劣化について紹介したいと思います。
 
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<仕組み>
 
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NOx吸蔵触媒では、通常(空気過剰のリーン状態)はNOxを溜めておき、定期的に燃料過剰(リッチ)状態にし、NOxを無毒なN2に変えます。
 
空気過剰(リーン)の状態
図3Aのように通常(リーン)状態では、排気ガス中のNOx(主にNOとNO2)をNOx吸収剤に吸収させます。
 
燃料過剰(リッチ)の状態
図3BのようにNOxを触媒に一定量吸収させた後、リッチ状態をつくります。リッチの状態では、NOxは吸収材から放出され、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)と反応し、無毒なN2になります。
 
このとき、リッチ状態を作るためにおこなう動作をリッチスパイクと呼びます。次にリッチスパイクについて紹介します。
 
<リッチスパイク>
 
ディーゼルエンジンでは、このリッチスパイクをおこなうため、主に以下に紹介するような制御をおこなっています。
 
1.吸気スロットルを絞り吸入空気量を減らす。
2.大量のEGRをかけ、排気ガスを吸気側へ還流させる。
3.メイン噴射のタイミングを遅らせ、排気ガス中のCOを増やす。
4.ポスト噴射等により、排気ガス中のHCを増やす。
 
リッチスパイク時は通常の燃焼とは異なるため、燃焼の切り替わり前後でショックが出ないように、きめ細やかな制御が求められます。その精密な制御のために、コモンレールに代表される電子制御式燃料噴射装置が必須となっています。
 
<NOx吸蔵触媒の劣化>
 
NOx吸蔵触媒を使用する場合に問題となるのが、燃料やオイル中に含まれる硫黄分による触媒の劣化です。SO2(二酸化硫黄)としてエンジンから排出された硫黄分は、NOxよりもNOx吸収材に吸収されやすいため、SO2が優先的にNOx吸収材に吸収されてしまい、NOxを溜めることができなくなります。
 
そのため、NOx吸蔵触媒では、硫黄分が少ない燃料を使用するのが前提となります。吸収されてしまった硫黄分は、定期的にNOx吸蔵触媒を高温にすることで、そこから放出させることができます。しかし、NOx吸蔵触媒は、高温状態が続いていしまうと、熱による劣化が始まるため、注意が必要です。
 
第2話は以上です。
明日の第3話では、同じNOx低減技術である『尿素SCRシステム』を紹介いたします。お楽しみに!
 
出典
図1:日産 エクストレイル
http://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/m9r.html
図1:三菱 パジェロ
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/pajero/

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